〔作家インタビュー〕d-NH《後半》
〔 作家インタビュー 〕

デザイナー・クラフトマン 萩原ナオキ
[ 後半 ]
HT: 制作や創作についての思いをお聞きしたいのですが?
同じものを100個となるとお財布的には嬉しいですけど、活動としては楽しくない部分もある(笑)
新しいものを考えられないのは楽しくないですよね。
17年もやっていると、売れないものは作れないという意識があります。
アーティストとは思っていないので、売れるものを作る職人という意識があります。
それをクラフトマンと表現していますね。便利なんですよ。伝統工芸士とも違います。多少勉強はしましたが、テクニックを継承しているわけではありませんから。
HT: 布目象嵌(彫金)の技術を習得したきっかけを教えてください。
見よう見まねから始めたことが、いつの間にか仕事になっていました。
ジュエリーの基礎となることを学んで無かった、教えてもらってなかったんですね。
ちょっと知らないことがまずいかな?と思ったので...。
その頃の知り合いにジュエリーをやっている先生を紹介してもらったんです。
その先生の専門がたまたま金工だっただけのことです。
伝統工芸とも知らずに通い始めました。
時間的にも優しい、週1回の教室だったので。
君はまず鏨(たがね)をやった方がいいと言われて、今に至ります(笑)
偶然出会ったものが本質だったのかもしれないですね。
まず刃物を作るところから始まったのが楽しいと感じたんです。
あれ?なんで刃物作っているのかな?と思うこともありましたけど、そのままやり続けましたね。
実際にそのテクニックがお仕事になるまでにも、時間がかかっています。
主にシルバーとゴールドのコンビでアクセサリーを製作してきましたが、それまでテクニックとしては彫金をあまり使っていなかったんです。
製作に行き詰る時期がやはり来るんですよね。それなりに長くやっていると。
そんな時に教わった技術を使ってみようと 改めて気づいたんです。
しばらく使っていなかったのですが、なんとかなってしまいました。(笑)
それが2014年ですね。roomsに出展し始めたころです。15年間は彫金を勉強していたのに、それを生かしていなかったんです。
師匠である泉公士朗先生に言われたことですが、自信がなくても まず仕事を取っちゃえよ。必死になってやれば上手くなるから。と。
実際そういう部分はありました。久しぶりに象嵌をやって見ましたが、100個、200個...と鏨(たがね)で目を切っていくうちに確実に上手くなったと思います。
行き当たりばったりに聞こえるかもしれませんが、実際そうなのかもしれません...。
HT: 今後の展開をお聞かせください
洗練された形をうみだして、素材をシンプルに組み合わせたイメージかな?
秋冬~来春夏に向けてトレンドの素材を使用したものを試行錯誤しています。
是非楽しみにしてください。
HT: 楽しみにしています。今日はありがとうございました。

HAUSKA TAVATAスタッフ(左) 萩原ナオキ(真ん中) HAUSKA TAVATA店長(右)
〔 布目象嵌 制作工程 〕

象嵌の土台となるリングを作り、目切り鏨(たがね)で刻みを入れていきます。

縦→斜め→斜め 合計3方向から刻みを入れます。(素材によってはもう1回横方向から、合計4方向から刻みます)

金箔を必要サイズに切り出し、目を刻んだリングに金箔を乗せて、嵌め込んでいきます。

木たがねで打ち込み、ヘラがけをします。

完成。