〔作家インタビュー〕MARZO-JEWERLY

3/17/2017

〔 作家インタビュー 〕

MARZO-JEWERLY

今回のインタビューはMARZO-Jewelryの白山郁美さんです。

幼いころから絵を描くことが好きな白山さん、北海道教育大札幌校、金属工芸科同大学院を修了後オーダーメイドジュエリーの職人を経て2012年に独立

され、現在は札幌に工房を持ち作品を製作されています。インタビューではフランスでのインスタレーションのこと、そして生まれ育った倶知安、ニセコの原風景など白山さんが生み出す作品の原点と感性がお話を通して感じる事ができました。

作品には白山さん自身が発信したいメッセージや、共有したい感覚が織り込まれています。

作品名Glitterとその製作風景

 

HT: ブランド名に関してお話をきかせてください。

MARZOはスペイン語で3月の意味です。由来はブランドがスタートした月と自分の誕生月が3月であることと、春の芽吹きのイメージとブランドの出発を重ね合わせています。パリでのインスタレーションに参加した時、そのままバルセロナに旅行して、大らかな雰囲気や、人の温かさに魅力を感じました。その影響で、スペイン語を少し学んだことも、スペイン語のブランド名にしたことにつながっているかもしれません。初心の思いをブランド名に託したので、このようにブランド紹介をする度に初めに志したことを思い出し、原点に立ち返るきっかけにもなっています。

 

HT: パリでのインスタレーション作品に関してとても興味を持ちました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

from basement space  地下室から

April.2011 Espaces des arts sans frontiere

2011年4月 パリのギャラリーにて

(素材)岩絵の具、金箔、大豆、真鍮 など

(サイズ)日本のマンションの室内ドア規格サイズ

「ドアノブを太陽とイメージして、扉は差し伸ばされた手によって地下室から外に出て行く」、というイメージの表現です。来場者には大豆をワイヤーでぐるぐる巻きにしたリングを、自由に持って行ってもらうインタラクティブなインスタレーションです。鑑賞者が持っていくため理由として、様々な用途を想定しています。先ずパールを模した大豆がセッティングされた指輪であること、指輪は身につけることが出来き、大豆は外せば食べることも出来る。また、土に埋めると発芽します。大豆は自己(もしくはそのようなもの)を重ね合わせ、日本人女性のアイデンティティとして捉えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白い大豆がパールのようにも見えるので、日本の代表的なジュエリーのようでもあり、日本の食事のベースにある味噌・醤油の原材料だったり、種子であるという女性的な部分であったり・・・。その大豆のリングを扉の上に敷き詰め、そのリングが無くなったら、その扉が開いての地下室から出ることが出来るというイメージでした。

自分の内側に引きこもってしまった場合、どうやったら外に出られるかと考えた時、外界との積極的な関わりが必要ではないかと。鑑賞者がリングを拾って持ち去ることを、自己と他人とのコミュニケーションに重ね合わせています。全てのリングがなくなり、床に描いた絵もいつか踏まれて消えてしまった段階で、地下から解放されるという作品です。全体の配色は、ブルーとゴールドにしたのは神々しさをイメージしています。リングは、そう簡単に持っていっていいものでもないのかなと。少し近寄りがたさを演出しました。(笑)

 

HT: 白山さんのジュエリーにたいする思いは?

着飾るという行為は、古来から見られ、いつの時代でも自らを飾るものを身に着けています。日常生活はもちろんのこと、お祝いの場で、お悔やみの席で。

何故、人は飾るのでしょうか?昔から人の生活の中、生きることの中に組み込まれているもののような気がします。ジュエリーは実用的な意味では、必要ないものかもしれません。今に至るまで、人々がどこに魅力を感じたか、具体的な理由を知りたいと思っていましたが、言葉にできない、答えの出ないものを無理に言葉にしなくてもいいのではないかと、最近思うようになりました。そして言葉に説明できないからこそ、形として(ジュエリーとして)表現する意味があるのではないかと思います。私は、普段の生活や、体感する自然から感じ取る「美しさ」の要素を、少しずつ作品に託していきます。その作品に魅力を感じてくれた方が、ジュエリーとして身につけることで、生活の豊かさのようなものが引き続がれていくといいなと思っています。

 

HT: 白山さんが生まれ育った倶知安(北海道)と作品に結びつきを感じます。

自分が生まれ育った土地の原風景・・・倶知安、ニセコ。豪雪地帯で雪の季節が長く、自然の多さが魅力の土地です。自分が表現をしようとする時、ブランドの代表作であるdelicate airシリーズに見られるように「自然のモチーフ」が多く登場するのですが、自然以外の分野から着想がないというくらい当たり前のことであり、生まれ育った地域が、アイデンティティーとして作品に色濃く反映されています。

〔 作品名 〕 delicate air

 

今回ご紹介している作品「there is no diamond」というシリーズは、「映り込む景色」を中心テーマとしています。一見ダイヤモンドに見える、皿状の凹面は金属を磨いた鏡面になっていて、凹面一つずつに、身に着けている人の周りの景色が映ります。森に行けば樹木が映り緑になり、空が映ると青に。といった具合です。映り込む景色は、身につける人自身で変化していきますが、どれも貴重な日常の一瞬です。それは、ダイヤモンドと同じように、もしくはダイヤモンドより価値のあるものかもしれない。というメッセージが込められたシリーズの作品です。

〔 作品名 〕 there is no diamond

 

「ダイヤモンドではない」というイメージを強調したかったので、デザインはどこかで見たことのあるようなものを意識し、どこかエンゲージリングや、ハーフエタニティ・パヴェのアイテムのようでもあります。普段日常で見たことのあるようなものが、違う意味や役割を持っていることに、驚きと面白みが伝わればいいなぁと思っています。

 

HT: 今後の製作に関してお話を聞かせてください。

ジュエリー職人から、ブランドを作って独立を決めるまでの間に、自分の方向性を探る期間がありました。その時に、ジュエリーでもなく美術作品でもないと思われそうな、曖昧なものを作品として表現できたこと、そしてそれが日本ではなく、アートに対して大らかな感性を持っているパリで発表し、受け入れてもらえたことが、自分の大きな自信になりました。

 

その時のチャレンジした表現の要素は、今の作品にも同じように含まれています。私の作っているものは、ジュエリーという形態のアート作品です。着飾るという用途から、使う人の生活に入り込み、込められた「アート」の要素から、日常を心豊かで面白みのあるものに出来たらと思っています。

 

HT: 楽しみにしています。ありがとうございました。

 

 

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